「……」

 ピリピリと痺れる肌、閑散とした風景の中に似つかわしい気配が戒の神経を刺激している。

 肌に伝わる感覚に眉をひそめた──これは、激しい殺気だ。

「翼」

「何?」

 カメラを設置し終え、翼に険しい目を向けた。

「俺が合図したら何も考えずに走れ」

「え?」

「考えるのは戻ってからだ。いいな」

 真剣な面持ちの戒に翼は無言で頷く。