金持ちの道楽のためだけに造られたクローン牧場──生活のために細胞を売った人間たちのクローンを造り、一部の金持ちが楽しむために殺しを行う場所を「牧場」と名付け、

「どんな望みも叶える」というエサをぶら下げてハンタードッグという仕事を作り上げた。

 牧場の場所は首都の近くにある。

 元々、飛行場を造る予定だった土地だ。

 計画が頓挫したと同時に遺伝子を扱っていたアメリカの企業に買い取られ、非合法で運営されていた。

 非合法ながらも運営が可能だったのには、政府の中にその企業から金を受け取った者がいたという事だろう。

「いい加減、放ってもおけなかったんだろうね」

 暗い線路の先を見つめて真仁がつぶやく。