一秒でも早く、お前の元へ

「あの、馬鹿・・・」

運転する手が、微かに
震える・・・

情けねえが、こんなにも
誰かの死を恐れた事は無い

千景・・・

待ってろ

俺がお前を守ってやる

車を降りた俺は、強雨に
打たれながら歩む。

雨水を含んだ白いシャツが
体にべったりと纏わりつく。

そんな俺の瞳に写る光景。

酒宴が執り行なわれている
ようには、とても思えない。

その場所に漂う空気は陰湿
で、男の俺でさえ二の足を
踏む。