浬は、立ち上がる。

「ルイ、引き上げるぞ
 腑抜けた男に、何を
 言っても同じだ

 昔のお前なら今頃
 チカの手を取っている」

歩みだす浬の肩に、手を置き
とめるのは、塁。

「カイリ?」

浬は玄関を見つめたまま言う

「見損なったぜ、セキ
 
 お前が、そんなにも薄情な男
 だとは思わなかったぜ

 ユミにしてやれなかった事が
 山ほど、あるんじゃなかった
 のか?」

あの時・・・こうしていれば

ああしてやれば、よかった・・

「後悔しても、遅い

 極道の頭?
 笑わせんなよ

 チカは、女だぜ

 女に・・・
 遣らせてんなよ

 お前が行かないなら
 この俺が行く」