そんな私の肩を抱く、一新は
私の唇に、ワインで滴る赤い
唇を押し当てる。

私は顔を逸らし、一新の腕を
振り払い、唇を拭った。

私に触れようと伸びる手を
振り払う。

「イッシン、やめて
 私に触らんといて」

私の腕を、強く握り締める
その手の力は凄まじい。

「いたい」

私の腕を引き寄せ、一新は
そのまま、私を抱きしめる。

「イッシン、放して
 大声出して
 人、呼ぶで・・・」

「どうぞ、どうぞ
 お好きなように
 
 誰もこの部屋には近づけへん
 お前と俺だけや・・・」

「あんたの女に戻るために
 戻ってきたんとちゃうで」