「ああ、そうだ
 お前が愛した女は
 神前組、二代目組長
 カンザキチカゲ
 
 二度と忘れんな」

二度と忘れるな・・・

玄関に立つ、私は
振り返らずに言う。

「ゲン、私の荷物
 全部、ほかして(捨てて)
 
 スーツにある、お金
 ここに居った宿泊費や
 取っといて
 
 ほんなら、さいなら」

開かれるドア・・・

「チカ
 
 お前は
 最高の女だった」

だった・・・過去形

玄関に置かれた
可愛いらしいサンダル

閉まるドア・・・