「大丈夫よ
 私が好きになった貴女を
 ゲンが好きにならない
 わけがない
 
 あの子は、そういう子なの
 
 優しいあの子は、必ず私の
 言うことを聞いてくれるわ」

弦のお母さんに握られた手に
彼女は、ほっと息を漏らし
私を見つめた。

その瞳は、弦と別れてと
私に願う。

「お願いします
 ゲンと別れてください

 私には、ゲンとハルちゃん
 が必要なの・・・
 
 もう、誰も失いたくない」

貴女の悲しみ・・・

私には分かる。

大切な人を亡くした人は
もう、二度と同じ悲しみを
味わいたくない。

「分かりました」