そして、胸を押さえ
ただ、黙り込んでいる。

どこか苦しいの?

『入院している』

確か、弦のお母さんは
病気のはず・・・

『いつもの心の病気さ』

「セキさん
 大丈夫ですか?」

彼女が背中を優しく擦ると
お母さんの荒い息遣いが
静まる・・・

一度、暗い海に身を閉じた
弦のお母さんは、目覚めた時
この私を見つめる。

春華さんの手を握り締め
娘の恋を邪魔させないと
ばかりに恋敵の私を
睨み付ける。

『二度と来る事はない』

悲しい、この場所へと
訪れたのは、彼女の為。

お母さんは言う。