私は春風さんを見た。



「俺が翔ちゃんを指名したんだ。チェンジはしたくないから、零士を写さない約束はちゃんとしたし、よろしくね?」



体を動かして喜ぶ零士を支えながら、春風さんは私に微笑む。

「でも…」と、零士の頭を撫でながら躊躇う私に、春風さんは、「でもじゃない!」と、立ち上がる。



「俺、このペアでモデルとして評価が上がれば、君を俺の専属にしたいんだ。他のモデルと撮影なんてさせない。嫌?」



“嫌”とは別に思わない。

ただ、上手くも笑えず、プロとしての資格を、自他共に潰そうとしてる、私、【翔】と仕事をして、春風さんにメリットはあるのだろうか。