何だろう、この嬉しさは。
 そういえば、慎也が通路側に座るのって、これで2回目だ。
 1回目の時は、こんなに嬉しくなかったのに。

 慎也の隣。……海帆。
 
 海帆は頭がいい。
 自分で言うのはおかしいけど、私も海帆と同じぐらい頭がいい。

 私の後ろの席には……。
「咲月の後ろかよ~。やだ~」
 未来。
 私も未来の前なんてやだよ~。



【慎也side】
 
 後期になった。入学式のあの日以来、ドキドキすることはなかった。
 何だったんだろうか、あのドキドキは。
 そして今も。
 
 委員会決め。
 会長がなかなか決まらなくて、教室の後ろで話し合っている。
 みんなで話し合っているというのに、俺は……。
 会長になったら、同じ委員会に咲月がいる。
 そんなことを思ってしまう。
 何で、咲月のことを考えるんだ?

 俺は、咲月を好きになることはない。そう思っていた。

「俺やる」
「じゃあ決まり~」
 あっさりとそんなことを言ってしまった。
 無意識のうちに。
 
 今日の俺はおかしい。
 
「会長誰?」
「はい」

 咲月は驚いた顔をした。
 俺が会長って、嫌か?