時刻はもう5時。
片づけの時間だ。
無意識に片づけを早く終わらせようとしていた。
「そんなに吉田に会いたいの?」
「違うよ」
会いたいけど、なんか、会いたくないんだよね。
片づけが終わった。
「そろそろ席替えだね」
「そうだね」
もう少しで日直が一周する。
一周したら席替え。
正直、席替えはしたくない。
慎也と席が離れっちゃったら、話すことが少なくなると思うから。
「席替えしたくないでしょ?」
「え!!?」
麻衣ってエスパーだ。
日直が一周して、ついに今日が席替え。
慎也の隣。慎也の隣。
ずっと心の中でそう呟いていた。
慎也がくじを引いた。
まだ隣が決まってない席。お願い!
でも、慎也の隣はもう決まっていた。
諦めたはずなのに、諦められない自分がいる。
でも、慎也の右隣はまだ決まっていない。
残りは5枚。
慎也の右隣の席は「8」だ。
残りの5枚の中に「8」がある。
慎也が好き。誰よりも好き。
だから、「8」を引ける。
そう思って、くじを引いた。
そこに書いてあった数字は……。