【慎也side】

 テストの結果が返される。
「吉田慎也くん」
 俺だ。
「はい」
 テストの結果を見る。
 
 38位……。
 まぁまぁだな。
 
 咲月はどうなんだろう。
 咲月は頭いいから、絶対1桁だよな。
 俺も咲月みたいに頭良くなりてぇなぁ。
 咲月に勉強教えてもらえたら最高なんだけどなぁ。
 咲月に教えてもらってたら緊張しすぎて、勉強に集中できなくなるな。

 深呼吸してから咲月を呼ぶ。
「咲月」
 大きな目で俺を見る。
 そんな目で見られるたびに、俺はドキドキする。

「テストの結果見せて」
「あ、いいよ。慎也も見せて」
 そりゃそうだよな。
 俺と咲月じゃ比べものにならないから、あんまり見せたくなかったけど、咲月に嫌われるのもやだし、そんなに悪い順位でもないしな。
「はい」
 咲月にテストの結果を渡す。
 咲月のテストの結果を見る。

 すげぇ。
 ほとんど1桁。
 5教科で7位。
 咲月の親は喜ぶんだろうなぁ。

 咲月はじっくりと俺のテストの結果を見てる。
 そんなに見るなよ。
「おい、返せよ」
「ちょっと待って」