目の前には慎也がいる。
「テストの結果見せて」
「あ、いいよ。慎也も見せて」
 慎也だけなんて、ずるいし。
「はい」
 慎也のテストの結果を見る。
 予想通り。
 38位。そんぐらいだと思ってたんだよね~。
 慎也が頭いいんじゃなくて、周りの人がバカなんだよ。
「おい、返せよ」
「ちょっと待って」
 慎也の点数をじっくりと見た。
 5教科で378点。平均が265点。
 100点ぐらい差があるし。
 どんだけレベル低いんだよ、この学校は。

「速く返せよ。じゃないとバラすぞ」
 バラす?
 もしかして……私の好きな人のこと?
 慎也、信じてるの?
 私の好きな人、慎也だよ?
 慎也は知らないけど。
 慎也にだけは、信じてほしくなかった。
 慎也に勘違いされると、私が辛くなるんだよ。
 私の気持ちなんか、知らないくせに。
「分かったよ。はい」
 私は笑顔で言った。
 すごく悲しかったけど、慎也に心配されたくなかったから。

 慎也は、私のことどう思ってんのかな?

 頭はいいけど、スポーツできなくて、キモいやつとかって、思われてんのかな?

 そう思われてるのはかまわない。
 でも、それを言葉にして言ってほしくない。