朝、学校に行く途中に咲月とどう接するかをずっと考えていた。
今は秀介のことが好きかもしんねぇけど、これから先は、まだ分からない。
まずは、席に着いたら、咲月に「おはよう」って言って……。それから俺は何すればいいんだ？
そうだ！今日は中間テストの結果が配られるんだった。それで咲月のを見せてもらおう。咲月は頭いいから、いろんな意味で見たい。
教室に入る。
咲月はもう来ていて、読書している。
自分の席へ行く。
咲月に近づくにつれて、心臓の音が大きくなる。
好きだと自覚しただけで、こんなに意識してしまうものなのか？
「ぉ……」
言えない。
今までの俺なら、普通に言えたのかもな。
俺は今まで、咲月にあいさつをしたことがない。
あいさつしたら、俺は咲月に少しでも意識してもらえるのか？
そういえば俺は、咲月のことを何も知らない。
携帯の電話番号も、家の住所も、メアドも。家の電話番号なら、同じクラスだから連絡網を見れば分かる。
本当に咲月のこと何も知らないんだな、俺って。
そんな自分が嫌になる。
咲月のメアドが知りたい。
咲月に聞きたいけど、聞いたら咲月が好きってことバレそうだからやめよう。
