ある日の部活が帰り。
 俺と咲月は同じバスケ部で、帰る方向が同じだった。
 俺の目の前を、咲月が歩く。
 俺は一人だったけど、咲月は何人かの友達で帰っていた。
 その時、俺が落ち込んでしまう会話が聞こえた。

「咲月は秀介が好きなんでしょ~?」
 この一言で、俺はどれだけ落ち込んだか。
「ち、違うよ!」
 明らかに焦っている咲月。
 本当なんだな。
 秀介は同じバスケ部で、バスケが超上手い。
「そうなの!?」
 俺は声を出してしまった。
 咲月は驚いた顔で俺を見る。
 その顔があまりにも可愛くて、ちょっといじめたくなった。
「明日みんなにバラしてやるよ」
「え、やめてよ!」
「明日学校に行ったらみんなに言われるかもな」
 俺と咲月の会話に、咲月と一緒に帰っている友達は入ってこない。
 俺はそっちの方がいいんだけど。
「でも、お前学校来るの早いからな。俺より先に来てるよな?」
「え!?あ、うん」
 
 家に帰ってからも、考えるのは咲月のことだけだった。
 こんなに人を好きになるなんて、初めてだ。
 どうしていいか分からない。
 
 明日からは、少し優しくしてやろうかな。
 普段は咲月に全然優しくない俺。
 ずっとそんなことしてたら、咲月に嫌われるかもしれねぇし。