あ、そういえば、慎也から手紙もらったんだ。
 
 私はそれを黙って読んだ。



 これって……告白?

 大樹と別れて俺と付き合う気があるなら、体育館の裏に来てって書いてある。
 
 でも……私は行かない。

 行かなくて……いいんだよ……ね?

「どうした?咲月」
 大樹の声。
 ヤバい……。
「ううん。何でもない」
 大樹に見つからないようにあわてて手紙を後ろに隠そうとした。
 でも……その手紙はいつのまにか大樹の手元にあった……。
 
 大樹は慎也からの手紙を読んでしまった。

「行くの?体育館の裏」
「行かないよ」

 私は、もう慎也のこと好きじゃないんだもん。

「行けよ」
「え?」

 何で?
 私、大樹の彼女なんだよ?
 なのに、どうして?

「好きなんだろ?吉田のこと」
「ううん。もう好きじゃないよ」

 そうだよ、慎也なんて、好きじゃない。

「でも、咲月は俺のこと好きじゃないだろ?」
「え?」

 そうだね。
 確かに、大樹のことは好きじゃない。
 でも、慎也も好きじゃないよ。
 今は、大樹のことを好きになろうとしてる。