―夜 部屋―
「お休み」
「ああ」
カーチェスの寝息が聞こえる。もう寝たのだろう。
「お休み」
頭を撫でて寝た。

翌朝
何かに叩かれている。
「起きて!エリア!」
「うん・・・?」
「早く、逃げるんだ!」
意味が分からない。
「どういう・・・」
「早く・・・」
周りを見ると部屋が壊れていた。
「な、なんだ・・・コレ」
「僕にもわからないよ。大きな音がして、君が光っていた」
「どういう・・・」
上からドンドンという音が聞こえた。
「軍のお偉いさんに捕まる前に逃げるんだ!」
「お、お前はどうするんだ!?」
カーチェスは寂しげに笑った。
「これ、僕だと思って持ってて」
渡されたのは銀の首飾りだった。
「バイバイ。エリア。元気でね・・・」
割れた窓からカーチェスはエリアを突き落とした。
「カーチェスッ!」
エリアは精一杯叫んだ。

―A塔・壊れた部屋―
「これは・・・」
「誰かいます!」
出てきたのはカーチェスだった。
「この部屋にはもう一人いたはずだが・・・」
「私が逃がしました」
「なぜだ?」
「彼が危険だと思ったからです」
嘘ではない。
カーチェスが見たあの力は危険だ。
彼が軍に拘束されるかもしれない。
だから、逃がした。
「君があの子を逃がしたのか?」
低く冷徹な声。
この声を知っている。
軍に入隊したとき、挨拶があった。
「さ・・・最高軍事局長・・・」
「危険だと思ったから逃がした、か。それは当たり前の判断だ」
「あの、エリアは、何者なのですか?」
「ついてきなさい。教えてあげよう」
カーチェスは最高軍事局長のヴァガスに連れて行かれた。