尊敬する眼差しを一夏に夕緋は見せた。
蓮としては、呆れてものも言えなかった。

でもその分、利用しがいもある。



『…じゃあさ、俺の代わりに買い物くらい行ってきてよ』



一夏はテーブルの上にあったメモ用紙に、買ってきてもらいたいものを音を立て書いた。
書き終わると、夕緋の目の前まで行き、それを乱暴に突き出す。



『その位はやってくれないと、泊まらせない』

「………」



しばらくの沈黙。
泊まると言い出したにも関わらず、夕緋は目を点にしている。



「あ、本当にいいんだ?」



――――ブチッ。

一夏の頭の血管が切れる音がした。
流石に今のはムカついた。

夕緋がメモ用紙を受け取ろうとした瞬間、一夏は差し出した手を引っ込めた。

こいつにやってたまるか。
そういう衝動に駆られた。