「珍しいなって思ったッスよ。俺なら(美咲)って名前から呼び名をつけるなら、そのまま(みさき)かちょっと捻っても(みさちゃん)が妥当だなと思うッス。」

「…言われてみれば確かにそうかも、みーちゃんなんて私もパッと出てくる名前じゃないかもね。」

そう言って先輩は納得した表情で頷いた。

「人の感性にあれこれ言いたくは無いッスけど、どうして「みーちゃん」になったんだろうって、そう思って…。」

「もしかして、ヒロはその名前の由来と祥子の過去に関係があるって言いたいの?」

「無いとは思うッスけど何となく…」

何となく、引っかかっていた。

みーちゃんと言う名前に特異さを感じているのは確かだが、それ以上に自分の中で忘れている何かを思い出そうとしていた。

「?」

俺はふと思考を止めた。

思い出すって、何を思い出そうとしていたのか?

そんな事を心中で自問自答をする自分自身に小さく苦笑した。