-それじゃ私は猿じゃなくて、下の名前から取って「ヒロ君」って読んでいい？-





ふと、祥子先輩と出会った時の事を思い出した。

「ヒロ君」の原点。

親父以外にヒロと進んで呼ばれる事はなかった。

そう考えると…俺は先輩に一つ質問を挟んだ。

「美咲先輩は祥子先輩にだけ（みーちゃん）って呼ばれてるッスよね。」

「うん、祥子以外にみーちゃんって呼ばないなぁ…。」

「その呼び方、祥子先輩の方から進んで呼んでたりしてました？」

「うん、あだ名自体は祥子が付けたよ。」

「やっぱり…。」

「やっぱり？」

俺の一言にみーちゃん先輩は問い返してきた。

「祥子のネームセンスが悪いって言いたいの？」

「そう言われると反応に困るッスけど…」

先輩の問いかけに返事を迷ったが俺は適切な言葉を探し先輩に言った。

「悪い、じゃなくて独特だな…って思って。」

「それって何がどう違うっての？」