あっという間に春休みは過ぎていき、気がつけば今日から学校だ。

軽い朝食くらいなら作れるようになったわたしは早速朝食作りに取り掛かる。

トーストを焼いて、スクランブルエッグとサラダを作って…あ、トースト焦げちゃった。ま、いっか。

それらをテーブルクロスの上に置く。ちょっと見栄えは悪いけどね。

「姉ちゃん、おはよ~」

「おはよ。ご飯できてるよ」

なにその嫌そうな顔!嫌なら自分で作ればいいのに。これだから甘やかされてばかりの長男は!

朝食を済ませ、制服に着替える。約2週間ぶりの制服はなんだか変な感じだ。

「海里~!遅刻しちゃうよ」

「今行く!!」

バタバタと駆けてきた海里ももちろん制服。わたし達の胸元には同じ校章が刺繍されている。うちの学校は小中高とエスカレーター式。校舎は違うけど同じ敷地内に建っている。

ドアを開けると海里は飛び出した。鍵をかけるわたしになんて見向きもせずに。

ちょっと待ってくれてもいいのに!

追いかけようと歩を進めたとき、チラッとお隣のドアに目をやった。

中原さんとはあれから一度も会っていない。

彼があのときに何故怒ったのかずっと気に掛かっていた。

気にしても仕方ないけど。