「…心が晴れた、かなぁ」 昨日までの傷心しきった自分を思い出し、くすりと肩を揺らす。 制服のポケットで眠っている桜の花びらのことも一緒になって脳内を掠めた。 …春暁、待ち幸い。 この景色や空気、穏やかな風に朝の匂い。 たぶん、これが。 春暁―――春の明け方、なんだね。 「…おはよう。春が、来たよ」