蓮が鞄を置きに2階へ上がった後、マスターが
「あいつは、小さい時親を亡くしてのう。まぁ、つまり、わしの息子だがのう。母方の家に引き取られたんじゃが、その人たちも先日、亡くなってのう。わしが引き取ったんじゃ。」
「なんで?高校生でしょ。一人暮らしすればいいじゃん。」
「わしもそれが不思議でのう。どうしてもここに来たいと言ったんじゃ。」
「へぇ。初恋のひとでも探してんじゃない?」
「梅ちゃんもそう思うか。わしもそうじゃないかとにらんでおる。」
「何が?」
「うわっ」
「蓮、年寄りをびっくりさせるでないぞ。」
「何、話してるの?」
「蓮の初恋に関してじゃ。」
「えっ」
「マスター、ビンゴみたいじゃん。」
「じゃのう。」
「かまかけたな!!」
「引っかかるのが悪い。」
「そうじゃ。わしらのせいにするな。」
「っ、そうだよ。俺がここに来たのはさ、約束してたんだ。また、会おうって。忘れられてるかもしれないけど。」
「見た目より、けなげなんだね。」
「遊びまくってたよ。母方のばあちゃんが死んで目が覚めた。」
「へー。」
「冷たいね。梅ちゃんは。」
「別に。」
「あれ?」
「蓮、良かったのう。梅ちゃんなりのOKじゃ。」
「マスター!!!!」
「はいはい。」
「……俺、頑張ってじいちゃんの店つぐからな。」
「がんばれー」
「梅ちゃん、冷たい。」
「あんた、何歳?」
「俺?17だけど?」
「ふぅん。同い年か。学校は?」
「N校だよ。」