その後、マスターと他愛もない話をずっとしていた。

カラン

「じいちゃん。ただいま。」

「おう。おかえり、蓮。」

蓮と呼ばれた人は私を見てびっくりしたが、すぐに

「こんにちは。」
と言った。

基本、人見知りの私は

「どうも。」
と、そっけなく返す。

「梅ちゃん、こいつがわしの孫じゃ。」

「天城蓮です。よろしく、梅ちゃん。」

「梅ちゃんて呼ばないで。」

自分の名前があんまり好きでない私は、心を開いていない人間に名前で呼ばれることを嫌っている。

「ごめんね。名前教えてくれる?」

「高橋」

「高橋さん?よろしく。」

「……バナナジュース作ったのあんた?」

よろしくするつもりは全くないので話を変える。

「そう。どうだった?」

「美味しいけど、不味い。」

私の答えに???を浮かべていた蓮は思いついたように言った。

「心に響かないってこと?」

「そう。」

「そっかぁ。じゃあ、もっと頑張らなきゃな。」