涼子の問いに、目をそらしながら美里は話した。






「彼氏はいないよ。ただ、この子の父親は私はわかってる」







悲し気に微笑む美里は、今にも泣きそうな顔をしていた。






「初めて、好きになった人…。届かない…好きになってはいけなかった人よ」







美里はこのとき、涼子に初めて涙を見せた。







いつも、飄々としていて、自分を貫き通す、強くて美しい美里。







そのイメージしかなかった涼子は、美里の辛さを感じて、一緒に涙して、美里を抱き締めた。






「涼子…」






美里は震えながら、涼子の腕にひがみついた。






「どうしてかな……?今までに感じたことないくらい…苦しいの」






美里は、ゆっくり、初めて好きになった人を話始めた。