「あれ?小春じゃん。」
「え...あ,純!」
純とは,私の幼なじみである,井上純のこと。
「登校の途中?俺はそうだけど-」
「あ,私も途中!」
「そっか。一緒に行こうぜ!」
「おっけ-✰」
このときは,純のこと,友だち...幼なじみとしか
思っていなかった。
友だち以上,恋人未満。
幼なじみなら,この関係を保てると信じていた―――
「今日はやけに風が気持ちいいよな-」
「あっ,純も分かる?さっすが幼なじみ-」
「この穏やかな感じ...俺好きだな-」
「うん,私も好き-」
私は,このやりとりが普通だと思っていたせいで
この先純を傷つけてしまうことになって。
純の気持ちに気づくことができなくて。
今の私には,こんな感情,分からないと思うけど...。