「あっ…蓮さん、狼牙って何?」
蓮さんに助けてもらった時、男の人達が蓮さんを見て狼牙が何とか〜って言ってたのを思い出したのだ。
「…俺の族の名前だ」
「族…?」
「…暴走族」
「暴走……えぇっ!?」
あのバイクでブンブンする怖い集団の………。
「…リーゼント………」
蓮さんの髪を見るけど、頭にあのフランスパンは乗っていない。
蓮さんは違う種類の暴走族なのかな…?
「…現代の暴走族にリーゼントはいないぞ」
「…そ、そうなんだ……。残念だなぁ…」
「…見たかったのか?」
「うん」と頷くと、蓮さんは小さく笑った。
「…そんなの見てどうする。」
「どうせ死んじゃうなら見て見たいなって…」
笑うあたしを見て、蓮さんは眉間にシワを寄せた。
「…どういう意味だ?」
「…あっ…………」
無意識だった……。あたしの馬鹿!余計な事を…。
「ほ、ほら、人間っていつか死んじゃうでしょ?だから……」
あたしは慌ててごまかした。お願い…どうか気付かないで…。ばれたら…家に帰されちゃうもの…。
「…そういう事か」
「う、うん。そうそう…」
とりあえずごまかせたみたいだ。危なかったぁ…。