「夢月…手」
「…へへっ…」
外へ出ると、蓮はいつもあたしと手を繋ぐ。
恋愛なんてもうしないって思ってた…。あたしにだって恋愛経験はある。彼氏がいた事もあった。
でも…やっぱりどこか人と距離を置いてた。自分の寂しさを埋めるために誰かを求めてた…。
でも…蓮は違う。蓮はあたしが壁を感じさせないって言ったけど、あたしの方こそ壁を作ってた。
そんなあたしの壁を壊したのは蓮なんだよ。
蓮はあたしが初めて自分から愛した人。寂しさを埋めるとか、そういうのは関係なく愛した人…。
「…夢月、ぼーっとしてると転ぶぞ」
「はーいっ」
蓮…。あたしの大好きな人。ずっとあなたの隣にいれたらいいのに…。
「蓮と過ごした時間は本当にあっという間だったなぁ…」
あたしは、空を見上げながら、しみじみと呟いた。すると、ビンッ!!と、あたしのおでこに蓮がデコピンをした。
「痛いぃ〜っ!!蓮の馬鹿ぁ…」
馬鹿力ーっ!!
痛みが和らぐように何度もおでこをさする。
「……………………」
すると、蓮かま無言であたしを睨みつけているのに気づいた。
ひいっ!怖いっ!!
「な、何で怒ってるの?」
蓮はただ私を睨みつける。それからフイッと目を反らした。
えぇぇぇぇ!?
な、何で怒ってるの!?