『…愛してる…夢月…』

『愛してる…蓮…』


二人愛を誓ったこの教会に、あの時の俺達の姿を見ていた。


月明かりが差し込むこの教会には、俺ただ一人しかいない。


バージンロードを一人で進み、ステンドガラスに描かれたマリアを見上げた。


確かに…此処で愛を誓ったんだ…。俺達はただ…傍にいるだけで良かった…。


教会の中にあるオルガンの上にあの手紙が在る。この教会にある美しい全ての装飾品よりも存在感があった。


夢月からの最後の手紙を手にとる。


迷いはあるものの、やっぱり俺は開いてしまった。