「…懐かしいな…」
俺と夢月が出会った路地裏。真っ暗で汚いこの場所が、俺と夢月が出会った場所だった。
男に囲まれていた夢月。本当ならどうでも良かった。でも、何故かほっとけなかった…。
その怯えていた瞳さえ、純粋で無垢で綺麗な瞳だったから…。
綺麗な星のようだった…。それを汚してはいけない…だから助けた。
『あ…の……助けてくれて…ありがとう…ございます』
目の前で俺が男を殴ったのは見ていたはずなのに、怯えることなく『ありがとう』と言った。
人を殴って礼を言われたのは初めてだった…。
路地裏の電柱の下。そんな所に何故生えているのかわからないパンジーの横に、あの黄色い封筒があった。
それを手にとりその場で開いた。