「…たとえ…たとえそうなったとしても、蓮さんには皆がいるでしょ?」


狼牙の皆がいる。蓮さんが迷った時は必ず助けてくれる。


「…でも…ずっと総長は続けられない」


「蓮さんが総長を辞めても皆と蓮さんの繋がりが途絶える事なんかない!蓮さんと皆は…そんな脆い関係じゃないでしょ?」


蓮さんは目を見開いたままあたしを見つめていた。


どうか…あなたの傍には皆がいる事が伝わりますように。そんな思いを込めて蓮さんを見つめ返した。


「…蓮さんの居場所は蓮さんのいたい所だよ。自由になりたいなら…逃げちゃえばいいんだから!自分の人生は、他人が決めた人生じゃないよ」


誰にも自分の人生を決める権利がある。それは、他人が決めていい事じゃない。

「…くくっ………」


結構真剣に言ったつもりなのに笑われてしまった。


「れ、蓮さんっ!?」


呆気にとられていると、蓮さんが立ち上がった。


気づけば当たりは真っ暗だった。