「…お前は…変な奴だな…」
「…えっ……?」
突然何を言い出すかと思えば…。
変な奴だなんて…。
軽くショックを受けていると、「違う」と言って後頭部をガシガシと掻く。
「……良い意味でだ。お前は本当…壁を感じさせずに…気づいたら傍にいる…」
なんでだろう…蓮さんの声がいつもより優しい。
「…最初は…ただの好奇心だった…面白そうだったからな…お前」
「…ええっ………」
そんな理由であたしを拾っちゃう蓮さんの方が…変な人だと思います…。
あたしは心の中で呟いた。
「…俺は…人が嫌いだ…。人が人に近づくのは、自分の利益、欲のためだろ。だからいつも一線を置いてきた…」
海の地平線を見つめながら蓮さんは言葉を紡いでいく。
初めて蓮さんから自分の事を話してくれている。だからあたしも…しっかり受け止めよう。
「…俺は、20歳になったら財閥を継ぐ事になってる。生まれた時から決まっていた自由の無い運命だ。だからこそ、20歳までは自分の好きなように生きて…それからは……」
辛そうに顔を歪める蓮さんの話を黙って聞いていた。
財閥…。良くわからないけきっとお金持ちの家だよね。
自由に生きられない。運命なんだって…ずっと苦しんできたんだ。