「……蓮さんっ!!」

「…なんだ?」


バイクに乗りながら前にいる蓮さんに声をかける。


「何処に行くんですか!?」


蓮さんはさっき来た道とは反対方向に進んでいた。


「…さあな」

「えっ」


さあなって……。

それっきり蓮さんは黙ってしまった。


何処に行くんだろう…。でも、蓮さんとだったら何処へでも行ける気がする。


そう言えば……。前に博美さんが蓮さんはあたしを女の子として見てるって言ってたけど…。


それって本当かな…?そうだったらいいな…。


多分、あたしは蓮さんに恋をしてるのかもしれない。傍にいたいとか…女の子として見てほしいとか…。


それでも断言して好きと言えないのには理由がある。


病気になってわかる。『死』がどれほと恐いか。だからこそ人は誰かの傍にいたいと、誰かの温もりを求めるものだから……。


蓮さんが好きだと勘違いしてるのかも知れない。


そんな気持ちが交差して、自分の本当の気持ちがわからなくなっていた。