「…あのっ…タケさん、お久しぶりです」

「夢月さん久しぶりっす!あ、良かったらトランプしません?」

「……………トランプ?」



暴走族って常に戦ってるのかと思ったのに…蓮さんは寝ちゃうしタケさん達はトランプ……。


未知の世界だなぁ…。


「ばば抜き総当たり戦っす。人数多いんで、5人ずつやってるんすよ」


タケさんは楽しそうに笑いながらあたしを座らせた。


「夢月さん、これを」


隣に座っていた人がトランプを渡してくれた。


「あっ…ありがとうございます」



それから狼牙の人達とばば抜き大会をやった。暴走族に対して恐いイメージしかなかったけど、みんな優しくて誰よりも仲間を大切にする人達ばっかりだ。


「…おぁーーっ…負けた…」


「元気出して下さいよ、副総長!」


落ち込むタケさんの肩に皆が手を置く。


「副総長は運がないだけですよ!!」

「副総長じゃんけんも弱いじゃないですか!気にする事ないですよ!」


あれ…全然慰めになってないような……。むしろ傷つけてるような…。


「…お前ら……」

タケさんがゆらゆらと立ち上がる。皆口々にやばいと呟いて後ずさった。


「夢月さん、逃げますよ!」


「えっ…」


トランプを渡してくれた人があたしの手を引いて走り出した。


「しばいたる!!」


タケさんが暴走した。


それからトランプ大会は強制終了され鬼ごっこになった。