「………夢月……」

「…れ…さ……」


蓮さんはあたしの頭を何度も撫でてくれた。


絶対びっくりしてるよね…。これがただの風邪じゃないって…蓮さんだって気付くはずだ。


「……大丈夫だ…傍にいてやるから」


何度も何度も頭を撫でられるうちに、痛みも不思議と消えてきた。


「……蓮…さ…ごめ…ね…」


いっぱい心配かけてごめんね…。驚かせてごめんね…。



「……なんで…謝る」

「……なん…でかな…」


そう言ってへへって笑うと、蓮さんは辛そうな顔をした。


あぁ…知ってる…。あたしはこの顔を知ってる。あたしが無理して笑う度、豊さんと喜一お兄ちゃんが見せる顔だ。


あたしは…蓮さんのこんな顔……見たくなんかないのに…な…。


ゆっくりと目をつぶる。疲れもあってか、そのまますぐに眠れた。