「えー、ここが客室。俺達が使う部屋はここから壮平、葵、春風……って、お前等、聞いてる?」
泊まる部屋の説明をアッキー先輩がしてくれてるんだけど、私と春風は聞く耳持たず。
「わわわわひーちゃん見て!プールがある!」
「ホントだ!もしかして、ここって風呂にライオンついてるパターンじゃん!」
豪邸にすっかり興味津々なのに、アッキー先輩ごときの話、聞いてられなくね?
「落ち着け庶民」
「イデデデ!」
そんな私達を落ち着かせるのはやはり皆川会長。偶然隣にいた春風が、ほっぺた抓りの刑に処せられている。
「各自荷物置いて10分後出て来い。以上」
春風のほっぺをパッと離すと皆川会長から解散宣言。ゴールデンウイークに生徒会合宿とか最悪って思ってたけど、こんな豪邸で遊びたい放題とか、最高じゃん。
私と春風はすっかりルンルン気分で、足取りも軽やか。しかし、そんな思想も完全に奪われる、氷よりも冷たい一言が降り懸かる。
「まさかテメェ等、ここまで来て遊べると思ってんじゃねえだろうな……?」
ギグリと体が動き振り返ると、そこには般若のお面のような顔の皆川会長。