やがてそいつは、かかって来るどころか下品に口角をあげる。皆川会長は同じ顔をして笑うが、こうも下品な顔にならないぞ。いや、寧ろあの人は上品だ。


私は思わず、その不愉快な顔に対し眉を寄せる。


「勉強も出来る。プロポーションも良し。性格は強気。力もある。……生徒会の飼い猫ちゃん。お前を公開レイプ出来るなんて、堪んねえな」


相手が嫌な顔で舌なめずりをすると、それを合図のように、私の背後から二人男が現れる。


そして、現れたクソ野郎共は、相手の奴みたいに下品なニヤケ顔で、私の両腕を拘束した。


「ひーちゃんっ!」


向こうの方で春風がテントから飛び出そうとするのが見える。喧嘩も出来ないくせに私を助けようなんて、やっぱり春風は男だな。


なんて、人事のように見ていると、春風を皆川会長が制する。


《決勝戦はルールは特にない。仲間を使おうが違反にはならない。言っただろう?生徒会のお前は、公平でなければならない》


制服にピンマイクを付けた皆川会長の声は、校庭にキン、と響き渡る。


唇を噛み締めた春風の後ろで、皆川会長が高慢に微笑むのが見えた。


つまり……ゴーって、ことだろ?