数秒後、校庭は静まり帰っていた。その校庭の中心には、私が一人立っている。


「あー、足にチンカスの感触残ったわー最悪。風呂入りてー」


その静かな校庭を、私はすたすたと定位置へ帰っていく。


《ただいまの勝者ぁ、石葉ひよこぉ》


その後を追うように、スピーカーからあおちゃんのマヌケな声が響いた。


「ひよこじゃねえっての!陽菜子だこのねぼすけが!目覚ませや!」


静まり返ったこの場には、私のツッコミだけがピリピリと響いた。


「全くー、口が悪いよぉひーちゃんったら、あはは」


「うっせ。チンカスにチンカスっつって何が悪い」


苦笑混じりにやって来た春風からペットボトルをもぎ取ると私はそれをぐいっと飲み干す。


「やっぱし、ひーちゃんだけは可愛いけど彼女にしたくないなー俺は」


「黙れソース顔。濃いわ。胃がムカムカするレベルだわ」


二回戦の組分けを他の三人の生徒会メンバーがしているのを何となくちらりと見て、私は春風のショッキングピンクの襟足を引っ張った。