今日は目まぐるしい一日だった。他校生から皆川会長達にチョコを渡してくれと押し付けられ、自分の学校のギャルからは春風に渡してくれと、同じくチョコを押し付けられ。
「俺、こんなにモテたの初めてー。ふぁー」
なんて、ヘラヘラ笑っている春風だが、タッパが同じくらいで、尚且つ同じ黒髪なせいで、伊達眼鏡を命じられ、一日皆川会長の囮にされたせいで、げっそりしている。
「今日は仕事したくないけど、楽しみもあるし?」
なんて、ニコニコ笑う春風が、生徒会室の扉を開くと、そこは、チョコの香りで充満していた。もう、匂いだけで腹一杯。
「ヤッホーひよこ!」
その匂いの原因である貰ったチョコをムシャムシャと食べるあおちゃんが、口の周りにチョコをくっつけて挨拶してくる。
「うあー、しばらくチョコは勘弁」
今日一日ですっかり老けてぐったりしたアッキー先輩は、甘いのを口から拭うように紅茶をガブガブ飲んでいる。
「さて、パーティーの前に、余興、するか?」
皆川会長は全員揃ったのを確認して、生徒会室に備え付けられている校内放送用のスイッチをすべてONにして、マイクを握った。