結局ガールフレンズのお菓子講座では一度も上手くいかず、翌日。
「ひーちゃんおはよ……って、その手何!?せっかくのすべすべ肌がぁー」
「いや、手荒れじゃね?」
慣れないことはするもんじゃない。私の手はたった一日で廃人と化していた。
「女の子の手なのに、可哀想ー。ちょっと待ってね!えーっと、確かここに……」
春風はポケットをゴソゴソと漁ると、チューブ型の何かを取り出した。そして、そのチューブを搾り、出てきたものを私の手に塗り付けた。
すると、この場の空間にオレンジのいい匂いが広がる。
「ひーちゃん、女の子のくせにハンドクリームくらい塗りなさい!」
……いや、寧ろ春風の、いい匂い付きハンドクリームを持っている女子力の高さに屈服するわ。
「あ、あと……」
そして更に、ブレザーのポケットを漁る春風。今度はどんな女子力の塊を取り出すつもりだ。