「…春風の、匂いがするんだよお前。気にくわない。んなもん引っ付けてんじゃねぇよ」
「な!?……んぎぎっ!」
何言ってんだよ、と言おうとした瞬間、皆川会長が自分の薄手のカーディガンの裾で強めにごしごし、と私の顔面を拭った。
「イテーな!何すんだあんたは!唇擦り切れるわ!晩御飯に私の唇の切り身でも置くつもりか!?ハァン!」
「いちいちうるせぇな!マーキングだよ。……お前、俺様のだから」
そう言い放ちとっとと去って行く皆川会長。
その会長の耳が真っ赤で、意味わかんなくて、擦られた顔が、口が、ヒリヒリと熱い。
あーもー!春風も皆川会長も、ワケわかんない!熱いんだよ、チックショー。