会長は春風をお手伝いさんに任せると、あおちゃんを無理矢理私からひっぺがし、ディナーまで解散を告げた。


私も部屋に戻ろうとするが、皆川会長に腕を引かれて止められる。


「皆川会長?やっぱり怒ってんの?悪かったよ。だから拷問器具は勘弁。ハワイなんだから殺生はなしにしよーぜ?」


「ちげぇよバカ。テメェの脳みそヘチマか」


この数時間で何回バカって言われんだよ私は。まぁ、私が悪いから言い返せないけどさ。


なんて思ってる間に、皆川会長の顔が、私の耳元にすい、と寄ってきた。


金持ち特有のフローラルのいい匂いが私の鼻いっぱいに広がる。それから、皆川会長の、独特の赤ちゃんみたいな柔らかな体臭も、またしかり。