一瞬見えた春風の目が、熱に支配されて、少し潤んでいる。


ただ、高熱のせいだけじゃなく、何か別の、熱の籠った、男の目。


こんな目で見つめらるのなんか初めてで、振りほどくことが出来ない。


夏に見たあの時の春風よりももっと熱くて艶やかな眼差しだと思った。


目をぎゅ、と反射的に閉じると、私の唇が、熱く、柔らかな、湿ったものに包まれる。


あ……春風に、キスされてる。なんて頭は妙に冷静で、角度を替えては何度も、私を包み込むそれに、力が入らなくなる。


以前、皆川会長にされたあれは、物凄く爽やかで、可愛い戯れだったというのを、自覚してしまうほどに、春風のキスは、情熱的で、全部が私へ好きを伝えて来るみたいだ。


熱い……唇から、体全体に、春風の熱が浸食してくる。