突き飛ばしたいところだが、体調悪い相手だし、それ以前に、春風の生徒会一番に長いリーチの恩賞の腕が、腕に絡まってて無理。


「俺、熱が出ると大胆、みたい、あはは」


「そ、そのようで。……ってアホ!自我があるなら離せ!」


しかし、離せと喚いても、春風の腕は力が籠る一方。


「俺ね、ひーちゃんのこと、ホント、好き。先輩みたいなカッコいい人に勝てないって分かってても、好き、スキ……」


「べ……つに、皆川会長、とは、そういうんじゃ、ねぇだろ?」


「……皆川先輩にしても、ひーちゃんにしても、鈍いの大概にしてよ」


そう、うなされたように呟いた春風は、私の体を一瞬だけ拘束から解放した。


その隙に離れようとするが春風のでっかい掌が私の頬を包み込んだかと思うと、ゆるり、と自分の体を私に寄せた。