「あれ、ひーちゃんが上着脱いでる。ずっと着てたのに……」


「あ?そりゃ、お前にかけてるからな。まさかのダブルパーカーなわけないだろ」


風が力の入らないふにゃふにゃの腕で、私の手首を掴んだ。


「なんか、夏休みビキニ見た時より、来る、なぁ、あは、は」


「…………な、何に?春風さーん」


あー!やだ!大人っぽい春風なんて、調子狂うんだけど!この春風は苦手だ。


「そりゃ……腰に、じゃん?」


「ん……なっ!?」


そのまま、色魔春風(私命名)にぐい、と引っ張られたかと思うと、その熱い体に抱きすくめられてしまった。


ちょっとちょっと!何なんだ、この状況はぁぁぁ!


海のしょっぱい匂いに混じって、春風ん家の柔らかなボディーソープの匂いが漂ってきて、目の前が白黒する。