そして、夕日に照らされてちーとばかしロマンチックに染まった海で、ボートを漕ぐ私達。


「あー、幸せぇぇ。最近皆川先輩ばっかでひーちゃん相手してくんなかったから最高ー。ひーちゃん俺が好意あるの忘れてたでしょ」


「大袈裟だな。毎朝一緒だし、クラスも一緒、生徒会も一緒、トレーニングもうちでやってんじゃんか」


「むむ、そうだけどさ！そうじゃないじゃん！」


穏やかな海、潮の匂いに包まれて、私が笑うと春風が、夕日のオレンジに負けないくらい真っ赤に染まる。


「もー、早く俺のこと、好きになぁれ！南無南無！」


「私のこと負かしたら、考えてやらんでもないけど？」


私が更に笑うと、春風は、ちぇーっと唇を尖らせた。何だこのロマンス。