しかし、私の高く速い蹴りを、皆川壮平はいとも簡単に腕で受け止める。まるで私の出した力を、自然と流すように。


手加減したつもりはない。なのに、意図も簡単に受け止められてしまうなんて思ってもみなかったから、思考が停止してしまう。


「壮ちゃんは合気道の師範が出来る程の実力者だから、力任せな攻撃は効かないよ」


後ろのねぼすけが私に言う。糞、ムカつく。悔しい。何なんだ、皆川壮平という男は。


顔をしかめて目の前を睨みつけると、皆川壮平は満足そうに高慢で美しい笑顔を向けると、私に言い放つ。


「俺を楽しませろ、ひよこ」


そして、ニーハイソックスから出た生足部分に、ちゅ、と音を立てて軽くキスをした。