抵抗しようにも、これがなかなか離れない。チラリと後ろを振り返れば、最初と変わらぬ眠そうな顔をしたそいつ。


「葵は可愛い見た目をしているが、かなりの怪力だ。お前でも動けまい」


うぐぐ……普通の男よりは力がある私でも、こいつはびくともしない。アンビリーバブル。


「ゴメンねぇひよこちゃん。壮ちゃんのお願いだからぁ」


「ひよこじゃない。石葉陽菜子だ」


キッと後ろのねぼすけを睨むと、大きな目をまだ眠そうにしたままへらへら笑っていた。


「ひよこ、か。いいあだ名じゃねえか、ん?」


おい皆川壮平、お前、何勝手にそれをあだ名にしてる。蹴るぞコラ。


こちとら上半身を塞がれようと足がある。私の一番の武器の、足が。