私はそいつのところまで向かうとむんずと胸倉を掴む。


「死にたくなきゃ今すぐ皆川壮平を出せゴラァ」


「うおー。見た目とギャップありすぎだろ。死にたくないから出す出す。ちょい待ち」


怒りMAXの私に赤毛はそう返すと、私の手を取って歩き出す。


その手の取り方が王子様のようで、不本意ながら少しドキッとしてしまう。いかんぞ。こいつは皆川の手下だ。


春風が言うには皆川壮平もこいつもソファーで寝てる奴もボンボンらしいから、まあこういう教育は受けて来たのだろう。


「壮平、待ちわびてた客だよ」


そして、生徒会室の奥の机に案内された私は、憎々しいくらい会いたかった奴とようやく再会出来た。


初めて会ったあの爽やかさはどこへやら、皆川壮平は机に足をドカッと乗せて、何やら資料を読んでいた。


糞……様になるのが尚腹立つな糞野郎。


「来たか。石葉陽菜子、お前なら来ると思ったぞ」


喋り方もこの間の敬語とは違うし、眼鏡をクイッと上げる仕種すら、もはや俺様にしか見えない。


「おいコラ騙したな。どこが大丈夫なんだよ。お前の目は節穴かコラ」


「騙されるお前が悪いんだよ。俺様の演技素敵だったろ?」


キレてる私にエセ爽やかな笑顔を向ける皆川壮平。マジで蹴り倒してやりたい。今すぐに。