「そろそろ仕留める、か」


皆川会長はゆるりと美しく私の攻撃を避けながら、小さな独り言を漏らす。


…………やっと来た、チャンス。たった一度きりの、待ちわびた私の勝機。


ほぼ完璧に隙のない皆川会長の、一瞬の隙。バランス良く攻防してる会長が、『攻』だけになるその一瞬。


失敗したら、マジで病院送りだろうな、私。だから失敗出来ないけど、成功する確率の方が低い。


糞、病院送りになったら看病してくれるイケメンの彼氏くらい作っとくべきだったかな。


今看病に来てくれそうな奴と言えば、私のことを大好きな春風ぐらいなもんだ。


なんて後悔しつつ、ゾッとするくらいに美しくギラギラした会長へ私は跳んだ。